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服薬・療養指導を充実させる知識・話題編
薬が飲み込みにくい患者さん
何を見直す?次の手は?

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薬剤師

若手薬剤師A先生
地域の患者さんに貢献したい思いが強く、どのように服薬指導をすれば患者さんの役に立つのかを考えすぎて指導に悩んでしまうやさしい薬剤師。

患者さん 患者さんの家族

Xさん(70歳男性)、妻(60歳女性)
約1年前にXさんが脳梗塞を発症。妻は夫の退院後、仕事もしながら自宅で夫の介護をしている。夫は再発予防のために服薬を継続しているが、脂質異常症と高血圧症もあり、数種類の薬を服用している。

ラビファ

ラビファ
服薬指導や管理に関する「困った」「わからない」を解決して患者さんに安全にくすりを届けるお手伝いをする薬の妖精。大きな耳で医療従事者の心のSOSを聞きつけて現れるため、患者さんや家族には見えない。

飲み込みにくい患者さんの指導に悩む薬剤師のマンガ

家庭での服薬状況を丁寧に聞き取りましょう

脳梗塞患者さんの嚥下障害は急性期にみられる合併症のひとつです。胃ろうを造設して退院するケースを除き、回復期にかけて嚥下機能が改善する患者さんも多い一方で、退院後も嚥下機能の低下が残ることがあり、剤形や薬剤の大きさによっては薬が飲み込みにくいと感じる患者さんもいます。また、療養生活を送るなかで加齢や服用している薬剤の影響で飲み込みが悪くなっていく患者さんもいます。

患者さんの服薬状況は、家庭での過ごし方など、何気ない会話のなかからうかがえることがあります。適切な服薬指導のためには、薬が服用できているかどうかだけでなく、現在どのように薬を飲んでいるのかを聞き取り、困っていることを拾い上げていくことが大切です。そのうえで、医師に減薬や剤形の変更が可能かどうかを確認したり、安全に服薬を継続するための服薬指導を行うことが求められます。

飲み込みにくい患者さんの服薬指導のマンガ

減薬や剤形変更の提案と服薬時のアドバイス

●食事を含む嚥下状態の確認

薬を飲み込みにくいと感じている患者さんに対しては、食事の状況についても一緒に確認をすることが大切です。なかには飲み込みが悪くなっていることで十分な食事量、栄養が摂れていない患者さんもいます。水を飲むとむせやすい、味噌汁のように液体と固体を一緒に摂るとむせるなど、どんなときに飲み込みが悪くなっているのかも確認しましょう。

●薬の影響による嚥下機能の低下

疾患や加齢による嚥下機能の低下以外には、薬剤の作用による嚥下への影響も考えられます。高齢者の場合は、さまざまな基礎疾患を抱えて複数の内服薬を処方されているケースが少なくありません。筋弛緩作用のある抗不安薬、睡眠薬など、嚥下機能の低下につながる薬がないかどうかを確認しましょう。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の「嚥下障害診療ガイドライン2024年版」では、抗精神病薬や消化管運動改善薬をはじめとする錐体外路症状を起こす作用がある薬が嚥下機能の低下を招くとされています。このほか、抗不安薬などによる過鎮静、抗コリン薬や利尿薬などによる口腔乾燥、食道粘膜の障害や下部食道括約筋圧の低下を招く薬剤なども嚥下障害の原因になり得る薬剤としています※1)。

また、薬の数や錠剤の大きさも飲み込みに影響することがあります。減薬や剤形の変更などを主治医に提案するとともに、患者さんの服薬状況については、「服薬情報提供書」で共有しましょう。

●服薬時のアドバイス

(1)服薬時の姿勢の見直し
飲み込みが悪くなる要因のひとつに服薬時の姿勢があります。ベッドやリクライニングチェアなどを倒した状態は顔が上向きになって気道が開いてしまうため、誤嚥のリスクも高くなります。服薬時は上半身を起こしてできるだけ背筋を伸ばし、軽く顎を引くように指導しましょう。

(2)服薬を補助するツールの活用
薬の特性や使用方法を確認したうえで、薬の作用や吸収に影響しない服薬補助ゼリーや水オブラート法など、患者さんが手軽に取り入れることができ、続けやすい方法を活用しましょう。これらの方法でも飲みにくさが改善しない場合には簡易懸濁法などの別の方法を検討します。粉砕は、薬剤の効果に影響するものがあり、味が変わることもあります。減薬や剤形の変更、姿勢の見直し、服薬補助ゼリーなどの活用、簡易懸濁法などを行っても飲みにくさが改善しない場合に検討します。また、患者さんにも自己判断で粉砕を行わないように指導することが重要です。

<文献>

※1) 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会編:嚥下障害診療ガイドライン2024年版.金原出版,2024
・ 鈴木慶介:特集 口腔機能低下症・嚥下障害のミカタ 嚥下機能にあわせた剤形・投薬経路の選択肢.薬局,南山堂,75(12):69-75,2024.
丸一泰雅先生

<取材協力・監修>
タイガー薬局 丸一泰雅先生

2008年金沢大学薬学部卒業。同大学院自然科学研究科修了。その後製薬企業勤務を経て、調剤薬局に入職。在宅担当、管理薬剤師、エリアマネジャー等を務め、2025年3月、タイガー薬局開設。研修認定薬剤師、緩和薬物療法認定薬剤師、認定実務実習指導薬剤師、プライマリ・ケア認定薬剤師、スポーツファーマシストの資格を取得。著書に「在宅医療のいろは ストーリーで学ぶ訪問薬剤師業務」「アウトドア薬局のまとめ資料総集編薬局薬剤師のための在宅医療基礎講座」がある。

この記事は2026年6月現在の情報となります。

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